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口コミサイトと一線を画する「ミシュラン」の星:コラム WRITERs'VIEW .007


CNNで、「ミシュランガイド東京、星付き世界一を維持」と発表されました。*1

ネット社会によって、誰もがレストランの情報にアクセスできるようになった今、ミシュランの存在意義について考えてみました。

 
口コミサイトと一線を画するミシュランの星

世界中のレストランを見つけられる時代

最近では、tripadvisor(トリップアドバイザー)など、世界共通の口コミサイトが存在し、だれでも簡単にコメントでき、評価できる時代になりました。そして、誰もが世界中のレストラン情報にアクセスでき、しかもランキング形式で見ることができるのです。

 

それでも、やはりミシュランと聞くと、そこに駆り立てられるものがあります。

ではなぜ、世界中の人がコメントできる口コミサイトより、ミシュランのほうが信頼されるのでしょうか。

 

口コミサイトの落とし穴

その理由はいくつかあります。 誰もが一度は使ったことがある口コミサイト、そこには落とし穴があります。

つくられた口コミ

ひとつは、口コミサイトの仕組みです。

口コミサイト=「たくさんの人によって、いろいろな角度から評価されて得た総合評価」のように見えますが、実態は偏った評価でもあるのです。

口コミ特典として割引、サービスなどをつけたり、お店の人がわざわざ評価をつけさせるお店があります。過去には、ランキングの表示位置を買えるものもありました。しかし、口コミサイトのランキングにはそれを見分ける方法がないのです。

このようにして得た評価は、本当に信用できるものでしょうか。味はどうであれ、こういった場所はおすすめしたくありません。

数の多さが世界基準を決める

世界にはいろいろな国があり、様々な文化があります。金銭感覚も、味に対する基準も、清潔感に対する評価やお店の雰囲気など、多種多様です。

しかし、口コミサイトでは、すべての口コミが同じ「一票」です。ということは、数が多いほど、その価値観を持つ集団の意見が強くなります。人口だけ見ても明らかです。

これは止むを得ないことでもありますが、世界の評価基準と、日本人が求めるものは少し違う気がします。 

口コミ数=観光客の数

口コミサイトで評価するのは、大抵の場合は「旅行客」です。よっぽどでない限り、自分の住んでいる場所のレストランの口コミは書きません。だって、よく知っていますから。

観光客向けのレストランでは、雰囲気も観光客向け、サービスも観光客向け、味も観光客向けです。日本語のメニュー、その場所と行ったら誰もが知っていそうな料理、観光客だらけで賑やかなレストラン。

それは、本当に「いいレストラン」とは違うような気がします。(個人的な意見ですが。)

 

つまり、ビッグデータでは見えないものがあるのです。

 

ミシュランのこだわり

ミシュラン調査員の裏側を探る記事には、次のように書かれていました。 

「雑誌やインターネットがどれだけ普及しようと、車を運転して回り、実際に現地に滞在する経験に匹敵するものはない」(バー氏)

 

ミシュラン調査員は、匿名性にこだわります。正体を明かさずに、自腹で世界のレストランを食べ歩き、味や値段だけではなく、お店の人の表情、しゃべり方や店内の清潔感なども含めて評価をします。

そのレストランの「日常」の雰囲気と味を味わうのです。

 

ミシュランの星が意味するもの

ミシュランの評価基準は、

  • 一つ星★   非常に良い
  • 二つ星★★  遠回りしてでも訪れる価値がある
  • 三つ星★★★ 特別に旅行する価値がある(並外れている料理)

と明確に決まっています。

ミシュランによって評価されるということは、世界中の美食家を惹きつける一因にもなり、レストランの確固たる評価と信頼につながります。

一流であるという評価とともに、注目が集まり、予約が殺到して入りにくくなったり、価格が上がってしまうなど、変化を伴うことも否めません。なかには、ミシュランは敷居が高いと感じる方もいると思います。

すべて含めて、ミシュランの星の持つ力です。

 

星だけじゃない、とっておきの一店を

お気に入りのレストランを見つけるヒントとして、まずはミシュランガイドを本屋さんで手にとってみるのもいいでしょう。星を持っていない、推薦店を見つけることができます。推薦店には、隠れた名店がたくさんあります。

 

ミシュランのレストランだけではなく、安くて美味しいお店はまだまだ存在します。

 

まだ知られていない隠れた名店を見つけるためには、ネットで観光客が一位に選ぶお店に行くのではなく、現地に住んでいる友達におすすめを聞いてみたり、その街で信頼される情報誌を買ってみてください。また、大通りを離れて、路地裏の地元の人で賑わうレストランにふらっと入ってみるのもいいでしょう。そういう場所に、本当に気に入るレストランが隠れています。

 

わくわくするような、いつもとは違う景色が見えることがあります。そして、素敵なレストランを見つけたときには、その幸せをじっくり味わってください。

 

*2019年ガイドは、2018年11月30日発売です。

  

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