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海外の病院ガイド!選び方と予約方法、問診英語、医療費はどのくらい?海外生活情報


今回は、海外の病院へ行くときに参考にしてほしいことを、自身の海外生活での経験を踏まえて書いています。

特に、海外で風邪をひいたときなど、一般的な病気、怪我など救急外来を受診する場合の病院の選び方をまとめました。この記事を読んでいただくことで、少しでも海外の病院にまつわる不安を解消してもらえたらと思います。

「海外の病院」不安解消!病気や怪我をしたときは?海外生活に役立つ情報

 

病気は放っておくと悪化してしまう場合もあるので、海外にいる場合であっても、早めに最寄りの病院に行って診てもらったほうが安心です。自分が病気の場合はもちろん、付き添いで病院に行く場合にも参考にしてください。

 

海外の病院に行くのが不安な理由

海外の病院に行くとき、さまざまな不安があると思います。

海外の病院では、

  • 安心できる病院の探し方・見分け方がわからない
    海外で病院を選ぶポイントは?
  • 病院の予約方法・病院で使う英語がわからない
    予約は必要?英語(外国語)の電話予約は苦手…
  • 海外の病院での英語が不安!
    お医者さんからの英語の質問がわからないかも?
    言語の違いによって間違った情報を伝えてしまうかもしれない
  • 海外の病院の受診手順がわからない
    病院に着いたらどこへ行けばいいのかわからない
    何をすればいいのかわからない
  • 海外の病院の医療費はどのくらい?
    とてもお金がかかりそう…初診料、検査費は?

など、さまざまな不安や疑問があると思います。

 

こういった不安の多くは、病院に行く前にある程度解決することができます。

 

海外で病院を探すポイント

海外の病院選びのポイント

 

まずは、海外(渡航先)の病院、医療事情を把握しておきましょう。

海外の病院選びのポイントは

  • 海外(渡航先、滞在先)の医療事情を調べておく
  • 日本人の方がよく利用する病院を聞く
  • より安心して医療を受けられる病院を選ぶ
  • 日本語・英語など対応している病院か確認する

 です。

 

病院選びのポイントをもう少し詳しくみていきましょう。

外務省ホームページから各地の医療事情を把握する

まずは、事前に海外(渡航先、滞在先)の病院に関する情報を確認しておきましょう。

外務省ホームページにて海外の医療事情と、各地の病院情報を確認することができます。渡航前に確認しておくと、必要な準備もできるのでおすすめです。

参考:世界の医療事情 | 外務省

 

各国にある日本大使館ホームページにて医療情報が公開されていることもあります。

例:在アメリカ日本大使館(医療情報)
Embassy of Japan in the United States of America

*上記の外務省ホームページのリンク(世界の医療事情 | 外務省)から各国にある日本大使館情報にもアクセスできます。

日本人が利用する海外(現地)の病院を把握

すでに現地で生活している日本人の方がいる場合は、普段利用する病院を聞いてみましょう。

経験上、こんな方に聞くのが安心です。

  • 滞在歴が長い方
  • 現地の方と結婚している日本人の方

 

日本人が受けたい医療レベル、医療環境をわかっていて、現地の人の目線でみても安心できる医療機関を知っている人に教えてもらうのがポイントです。

また、日本人など外国人対応に慣れている病院のほうが理解があるので、困っていたらサポートをしてくれると思います。

 

海外でより安心して医療を受けられる病院の選び方

海外での病院の候補がいくつかある場合には、次のポイントをふまえて選びましょう。ここでは、一般的な内科診療の場合をご紹介します。(歯科などは別の記事でご紹介します。)

失敗しない海外の病院を見分けるために、
  • 病院の種類:私立の総合病院を選ぶ
  • 病院の立地:アクセスのよい場所を選ぶ
  • 診療の内容:必要な医療が受けられるか確認する
    ワクチンなどは特定の病院にしかありません。)
  • 病院の対応:受付で英語が通じるかどうかを確認する
    (国によって日本語が通じる場合もあります。)
を確認しましょう。

 

一時的に滞在している方は、確実かつ迅速に医療を受けるためにも、私立の総合病院に行くほうが設備も綺麗で高い医療を受けることができると思います。

海外の公的な病院では、その国の社会制度によって医療費がタダ(無料)のところあります。そういう病院は市民の方が多く利用するため、非常に混んでいることがあります。救急へ行ってもなかなか診察してもらえない場合もあり、また受付で英語が通じないこともあります。 

他にも、海外にもクリニックのような病院もありますが、直接大きな病院へ行くほうが多くの診療科が揃っているので、さまざまな診察、検査をまとめて行うことができます。

日本では総合病院に行くにはまず近くのクリニックなどで紹介状をもらう必要がありますが、経験上では私立の総合病院に行き受付をすれば救急外来で診察してもらえます。 

 

病院の対応言語(英語・日本語など)を確認する

英語圏以外の国では、クリニックなどの小さな病院は英語対応していないことが多いので、総合病院を選ぶことをおすすめします。

また、総合病院であっても受付では英語が通じないこともあるので、事前に調べて、どのような症状で来ているのか伝えられるようしておきましょう。現地語が話せない場合は、メモなどを作っておくとよいでしょう。

総合病院では、受付でお願いすると病院内での英語通訳をお願いすることもできます。病院内の案内や受診までの手続きを手伝ってもらえるので、通訳サービスがある場合には利用しましょう。

 

海外の病院の予約について

海外の病院の予約について

 

経験上、海外の総合病院では救急外来の窓口があるので、予約なしでも診察を受けることが多いです。

電話するのが不安で病院に行けないという方はとりあえず病院に行ってみるのもありかと思います。ただし、英語通訳などをお願いする場合は、混み合っている時間帯では待たされる可能性もありますので、考慮しておきましょう。

予約をする場合

海外の病院の救急外来は、直接病院に行き、受付で番号札などをとって順番を待つものが一般的です。再診が必要な場合には、たいてい診察時に日時を決めます。*1

 

一方で、専門科の外来の場合は、予約がないと診察を受けられない場合が多いと思います。 この場合は電話して予約を取ることになります。

 

病院によっては、WhatsAppやFacebook MessangerなどSNSでの質問ができる場合もあります。事前に病院ホームページなどで確認してみましょう。

 

海外の病院での問診時に使える英語

海外の病院での英語

 

日本の病院に行く場合も同じですが、海外の病院に行く場合には事前に準備しておくことがとても大切です。普段英語に慣れている方も、病院で使われる英語は普段聞き慣れないものもあります。準備をすることで伝え忘れや、言語の違いによる伝え間違えが減ります。

病気・ケガの症状整理

自分の症状を事実に沿って正確に伝えるための情報整理です。

 

メモを作るだけで、ほとんどの質問に対応でき、より的確に症状を伝えることができます。(英語で話すのが不安な方は見せるだけでも十分に伝わると思います。)

病気の症状メモ(英語版)

No.1

Location(位置)

 ・Where is it?

 (それはどこですか?)

 

 

 

No.2

Quality(性質)

 ・What is it like?

 (それはどんな感じですか?)

 

 

No.3

Severity(程度)

 ・How bad is it?

 (どのくらいひどいですか?)

 

 

No.4

Timing(時期)

 ・When did it start?

 (いつからですか?)

 ・How long did it last?

 (どのくらい続いていますか?)

 ・How often did it come?

 (どのくらいの頻度ですか?)

 

 

No.5

Setting in which it occurs
(症状が起きた状況)

 ・How did it happen?

 (どんな風に症状が起こりましたか?)

 

 

No.6

Provoking or palliating factors
(悪化または緩和させる要因)

 ・Does anything make it worse or better?

 (どんなときに症状が変わりますか?)

 

 

No.7

Associated manifestations
(随伴症状)

 ・Is there anything else?

 (ほかに症状はありますか?)

 


引用元:Lesson4 医療面接での英会話 ~主訴・現病歴~|英会話|アルク

 

海外の病院に行くときにまとめておくべき問診対応リストは、英会話|アルクの「医療面接での英会話」の内容がおすすめです。サイトは、医療関係者向けに書かれていますが、患者の立場からも役立ちます。

海外在住で病院に行く方は、病院に行く前に項目に沿って英語のメモをつくっておくと質問されてから戸惑うことがなくなり、不安も軽くなります。

具合が悪いときには、臨機応変に対応するのも大変なものです。英語のメモを作っておけば、最悪、見せるだけでも自分の状態を伝えることができます。

 

自分の症状を説明する英語

自分の症状を説明する英語を知りたいときには、このようなガイドを参考にしてみるのもいいでしょう。

 

参考:メディカル英語ガイド(公益財団法人茨城県国際交流協会)

例えば、以下のような症状を英語で説明するときに役立ちます。

  • I have had a slight fever.  微熱が続いています
  • It hurts when I swallow.  物を飲み込む時に痛みます 
  • My stomach (upper abdomen) hurts.  胃(上腹)が痛みます

 

その他にも、日常生活では使わない病名などの英語も載っています。

  • Conjunctive inflammation  結膜炎
  • Gastric ulcer  胃潰瘍
  • Tonsillitis  扁桃炎
  • Vomiting and diarrhea  嘔吐下痢症

 

自分の既往歴・アレルギーなど情報整理

また、事前にできることとして、海外に住むことになったら、自分の既往歴(これまでの病気)とアレルギーなどの情報をまとめておきましょう。

特に、アレルギーを持っている場合には正確に伝える必要があります。薬のアレルギーがある場合には、海外へ渡航する前に最寄りの病院(内科)などで、アレルギー情報を英語で書いてもらうようにしましょう。*2

また、海外渡航者は、事前に感染症の予防接種をするので、専門の予防接種外来へ行くと思うので、心配なことがある場合にはそのときに相談してみるのもよいと思います。

 

その他の言語の問診対応参考リンク

滞在先、渡航先の国や地域で、万が一英語以外の言語の病院へ行く場合には、こちらのサイト情報も参考になります。

英語以外の言語での問診を助けてくれる情報が載っています。(英語・スペイン語・ポルトガル語・中国語・韓国語・朝鮮語・タガログ語・ベトナム語・タイ語・インドネシア語・カンボジア語・ネパール語・ラオス語・ドイツ語・ロシア語・フランス語・ペルシャ語・アラビア語・クロアチア語)

参考:多言語医療問診票サイト|MULTILINGUAL MEDICAL QUESTIONNAIRE

 

こちらは、厚生労働省から出ている医療対応資料です。

参考:外国人向け多言語説明資料 一覧

   

救急外来を受診する手順

海外の総合病院も、受診手順は日本とほぼ同じだと思います。

救急外来の場合、

  1. 総合受付
     病院に着いたら、総合受付で救急外来(Emergency)の場所を確認します。
     (通訳サービスがある場合は、受付で通訳をお願いしましょう。)
  2. 救急外来
     救急外来の窓口で、受付をします。
     (番号札をとって待つ場合もあります。身分証明書が必要になるので、忘れずに持っていきましょう。)
  3. 待合室 
     受付後、診察室前の待合室で待ちます。
     (番号札の場合は、電光表示板の前で待ちましょう。また、この時点で検温や血圧測定がある場合もあります。)
  4. 診察室 
     呼ばれたら診察室に入り、診察を受けます。
  5. 検査室 
     診察後、指示に従って、検査を受けます。
     (血液検査・尿検査、必要に応じて点滴を受けます。)
    • 検査結果を待つ場合:どのくらいの時間がかかるのか確認する
    • 後日結果を聞く場合:処方箋をもらい、次回の診察の予約をする
  6. 支払い 
     最後に支払いを行います。
     (領収書を発行してもらうようにしましょう。)
  7. 薬局  
     最寄りの薬局で処方箋を見せて、薬を購入します。

 という手順で、診察を受けます。 

 

通訳サービスがある場合には、総合受付で通訳をお願いすれば、その後は付き添いをしてくれる場合もあります。私立の大きな総合病院では、診察自体は英語で受けられる場合がほとんどです。

 

海外の病院でどのくらい医療費を支払うのか

海外の病院の医療費

 

海外では支払う医療費が高そうだから不安で病院へ行けないという方もいると思います。実際、海外の病院では数万円はかかるのが一般的です。(入院などの場合は、高額になることもあり得るので、事前によく確認するようにしましょう。)

 

経験上、

ブラジルの病院

  • 初診料 R$450(レアル)*約13,000円

トルコの病院

  • 初診料 TL350(リラ)*約7,500円
  • 検査料 TL440(リラ)*約9,300円(血液検査・尿検査)

このくらいの金額を支払いました。

 

海外の病院でこれまで支払った金額は、日本の医療費を全額負担した額(日本の病院で支払う分の3倍)と同じくらいでした。*3ただし、欧米ではもう少し高くなるかと思います。*これは、診療・検査内容、その国の物価などによっても変動するかと思うので、あくまでも参考値です。

クリニックであっても初診料はほぼ同額というイメージです。万が一、クリニックでは診断が難しい場合や高度な医療処置が必要になった場合、総合病院へ行ってさらに細かい検査をしますが、その場合も総合病院で再度、初診料を支払うことになります。

ですので、クリニックのような小さな病院へ行くより、始めから総合病院でまとめて診察を受け、検査をしてもらうほうが無駄な出費を抑えられますし、より安心できると思います。 

 

海外保険に入っている場合には、条件に応じて保険が降りる場合があります。高額な医療を受ける場合(入院、手術など)にはあらかじめ確認をするようにしましょう。

また、海外に短期渡航中、病気になり海外の病院にかかった場合、日本の健康保険料を支払っていれば申請により一部医療費が戻ってくることがあります。(海外療養費支給制度があります。)

参考:海外で急な病気にかかって治療を受けたとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

 

海外でかかりやすい病気、怪我

海外で起こりやすい病気には、次のようなものがあります。

  • 風邪
  • 胃腸炎
  • 嘔吐下痢症(旅行者下痢症)
  • 狂犬病
  • マラリア
  • デング熱
  • ジカウイルス感染症 

これらは、海外に滞在する場合に注意すべき病気の一例です。

海外にいると、知らず知らずのうちにストレスなどが溜まり胃腸炎などになることや、水が合わずお腹を下してしまうことがあります。

また、国や地域によっては蚊を媒介した病気にかかる可能性もあります。その場合、特殊なワクチン、処置が必要な場合もありますので、適した医療処置を受けることができるか事前によく確認しておくことが大切です。

日本から薬局で売られている薬を購入していくこともできますが、地域独特な病気にはその国、地域の対処法を行うほうが早くよくなることも多いと思います。すぐに体調が回復しない場合には、早めに病院に行くことをおすすめします。

 

海外の病院に関する疑問

 最初に海外の病院に行ったときに気になっていたことを自分自身の経験を踏まえて、まとめてみました。

最初にどの診療科を受診するのか

基本的に、急に熱が出た場合や怪我をしてしまった場合など、予約なしでその日に診てもらいたい場合、救急外来を受診することになります。

その他の診療科は事前に予約が必要な場合が多いので、すぐに診てもらいたい場合には救急外来(Emergency)へ行って相談するとよいでしょう。

 

海外で急病になった場合には救急車を呼ぶのか

海外も日本と同様に救急車もありますが、基本的にはタクシーなどで病院に行くのがおすすめです。

  • 救急車でも費用がかかる場合がある
  • 救急車が来るまでに時間がかかる

このようなことがあるので、どうしても動けないという場合を除き、タクシーを手配するほうが早く病院に行くことができます。

 

具合が悪くなったら早めに病院へ

海外で生活するみなさんの中にも、早めに病院へ行ったほうがいいのはわかっていても、海外の病院と聞くと、「英語が苦手だから海外の病院はちょっと怖い…」「風邪くらいなら、とりあえず我慢してみる」と拒絶反応を示してしまう方もいるのではないでしょうか。特に、英語圏以外の国にいる方は、さらに不安が増して行きたくないと思うかもしれません。海外生活が長く英語に慣れている方でも、病院で使う英語は普段使わないものばかりで、戸惑うことも多いと思います。

ですが、海外の生活を続けると、気づかないうちにストレスが溜まっていて、疲れ、抵抗力の低下など、ちょっとしたことで体調を崩しやすくなっています。その国の気候の変化に適応するのも意外と大変で、慣れてきた頃は特に注意が必要です。*4

海外で病気になってから、病院探しをするのは大変ですので、ぜひ海外生活を始めるときに準備しておくと安心です。

もし、具合が悪くなってしまった場合でも、焦らず病院に行くことをおすすめします。みなさんの海外生活の一助となれば幸いです。 

*1:受診の手順は、国・地域によって多少異なりますので、海外の病院を受診するのが初めての方など、不安な場合は知っている方にあらかじめ詳しく聞くか、付き添ってもらうとよいでしょう。

*2:*薬の名前は英語表記がわかりにくいものもあるので、自分で調べるよりも病院で書いてもらうとよいでしょう。

*3:日本で健康保険料を支払っている場合、一般成人は医療費3割負担となっています。

*4:実際、つい先日、急性胃腸炎になり病院に行ったのですが、何回行っても海外の病院は緊張します。ですが、やはり行っておいてよかったと思います。抗生物質など、病院に行かないと手に入らない薬がありますし、原因が明確になれば対処できるので、気持ちも楽になります。